*注意)この「べじぱみゅの学習メモ」のカテゴリー記事は、ワタクシ自身がこれまでに勉強したいろいろな項目について、テキストにあんまり書いてない内容などを勝手に妄想したメモです。
ワタクシ自身の備忘録のために書いており「初学者にわかりやすく説明する」というものではございません。
導入なしに唐突に話が始まり、おそらく意味不明な文章かもしれません。
しかし、せっかく考えたことなので、記事の内容がもし誰か1人でもお役に立てれば幸いです。


フーリエ変換の応用!

以前「フーリエ変換」についてお話しました。せっかくなので、そのフーリエ変換を実際に使っている例に触れるのが、理解を深めるのによいと思います。例はいろいろあるのですが、ここでは"FT-IR"を取り上げようと思います。

"FT-IR"は"Fourier Transform InfraRed spectrometer"の略で、日本語で言うと「フーリエ変換型赤外分光装置」となります。タイトルに思いっきり「フーリエ変換」と入っているわけで、まさにフーリエ変換の応用先の代表なのです。

この手法は、材料の赤外線(IR)透過/反射 スペクトルを観測する手法です。わかりやすい透過のほうを説明しますとこんな感じです。


赤外線の透過

*この図では波長の違いを強調するためにをつけていますが、実際にはFT-IR分析で使うのはすべて赤外線なので「色」は見えません。

分析の対象は有機物であることが多いです。分析前に有機物をほどよく(吸収される波長とされない波長との差が出やすいように)薄片化します。薄片化したサンプルにいろいろな波長の赤外線を当てると、サンプル中の分子構造を反映してそれぞれの波長の赤外線が吸収されたりされなかったりします。

どういう分子がどの波長の赤外線を吸収しやすいか、というのは過去の偉人達によっていろいろと調べられているので、未知のサンプルの吸収スペクトルを見ることで、そのサンプルがどういう分子構造を含むのか推定できて、うまくいけば物質の特定ができます。(「ポリエチレン」だ、とか「アクリル樹脂」だ、とか)

細かな装置構成とかテクニックはいろいろあるのですが、原理はこんな感じです。要はいろいろな波長の赤外線をサンプルに照射しまくって、もれ出てくる赤外線の強度をとればいいのです。検出した強度と入射させた強度の比をすべての波長について計算すれば、それが「吸収スペクトル」になります。

上記を遂行するために、赤外線を1個1個の波長ごとにチマチマと当てていってもいいのですが、そんなの時間がかかりすぎるのでやってられません。というわけで

全部の波長の赤外線をいっぺんに当てて、結果をフーリエ変換する

という手法を取ります。多数の波長の赤外線をいっぺんに当てたとき、もちろんですが多数の波長の赤外線が同時にサンプルを透過してきます。それをフーリエ変換すれば、どの波長の成分がどれぐらい含まれているかがわかるのです。


そうは言っても工夫が必要!

というわけで、さあフーリエ変換だ!となるのですが、そう簡単にはいきません。以前フーリエ変換の説明をした際には、「波形の時間変化」から「周波数特性」を求めました。理想的には今回のFT-IRでも、サンプルを透過してきた光の「強度」の時間変化を検知し、そのデータを記録しておいてフーリエ変換すればいい、と考えられます。

ただ、それは極めて困難、というか現在の科学技術ではムリです。「赤外線」とは文脈にもよるのですが、だいたい波長2.5~25umぐらいの光を指します。以下代表として、キリのいい波長10umの赤外線について述べますが、これの周波数は

<光速>/<波長>
=<3x10^8(m/s)>/<10(um)>=30[THz]

となります。1秒間に3x10の13乗回振動します。ということは1往復する「周期」でいうと、33.3[fs](フェムト秒)となります(厳密に言うとこれは「電界」の周期であり「強度」はこれの2乗なので周期はさらに半分になります)。フェムト秒とは10のマイナス15乗秒のことです。1周が33フェムト秒ということは、まともにデータとして記録しようとするならその1/100ぐらいのピッチ、0.33フェムト秒ごとぐらいでデータを取らなければなりません。

残念ながら、そんな高速で光強度データを記録できる計測器なんてないです。例えば「フォトダイオード」の応答速度(厳密な定義は難しいのですが、ざっくり言うと「問題なく追従できる入力変化スピード」)は、すごく速いやつでも1ナノ秒ぐらいです。日常感覚からしたら十分速いですが、0.33フェムト秒でデータを取ろうとしたら全然間に合わないですね。

さて困ってしまいましたが、先人たちはいろいろ工夫をされました。今冗談半分で述べた「直接時間変化を観測する」なんて無謀なことはせずに、うまく「赤外線の合計の波形」データを取る手法をつくってくれたのです。次回、その話からはじめましょう!



はっぴぃ理系らいふ、いぇい
ヽ(・ε・)人(・ε・)ノ キミモナカマニナロウゼ
   

【文責 べじぱみゅ】