「顔料」も、多くは引き算

前回までに、暗記マーカーを例にとり、モノに色がついて見える仕組みについてお話しました。とくに後半の「引き算」の部分は、世の中のほとんどのモノに適用できるお話です。「ほとんど」ということは違うモノもあるのですが、今回はそのお話です。
暗記マーカーはその気になれば小学生でもついてこれるレベルですが、ここからは高校生以上向けのお話になります。

今回はその例外の代表として「パール顔料」を取り上げます。そもそも「顔料」とは、着色を目的とした物質(粉末)のうち水やアルコールに溶けないものを指します(解けるものは「染料」と呼びます)。ファンデーションなどには、所望の色の顔料粉末がベースの基剤(油脂など)に分散しています。

ファンデーションの顔料としてよく用いられる赤のベンガラなどの酸化鉄、白の二酸化チタンなどはまさに前回までお話した「引き算」の原理で色がついています。

赤と白の顔料

「パール顔料」は、引き算ではない!

ただ、こちらもよく用いられる「パール顔料」(真珠光沢顔料)の色味は「引き算」の原理ではありません。パール顔料はその名のとおり?真珠のようにキラキラした顔料です。上のベンガラとは何か違う、不思議な色合いを呈しています。

パール顔料

色がつく原理はこんな感じです。ここでは赤色になる場合を書いています。パール顔料は、それ自体は透明(あるいは白)の物質です。「引き算」の原理で赤や黄色の色がついているわけではありません。色がつく理由は、大学入試でよく出てくる光の干渉です。透明であるシャボン玉が一部虹色を呈しているのを見たことがあると思いますが、あれと同じです。

パール顔料は、マイカと呼ばれる鉱石の一種を酸化チタンでうす~くコーティングした構造になっています。この「うす~く」が重要です。モノにもよりますがだいたい100nm程度の厚みです。このオーダーになると光の干渉が起こります。


そもそも「光」とは?

干渉って高校物理でもけっこう重要なところで、問題演習こそガッツリやることが多いです。ただワタクシが思うに、そもそもの部分に対するケアが不十分です。
物理の教科書では、そもそも光が何者であるかのおはなしをほとんどしないまま、反射・屈折とか干渉とかの話に入っていきます。そもそも光が何者かわからないのに細かい性質の話に入られても、なかなか受け入れるのは難しいと思います。

なぜ


ただ実際に「光が何者であるか」は超難しい話です。物理学自体が「光とは何者か」を追いかけて発展したと言っても過言ではなく、多くの天才達がああでもないこうでもない、と議論を繰り広げたのです。ハッキリいってか弱い高校生にすんなり理解できるようなものではありません。

教科書や授業はその辺の戦いの記録?をガン無視してさくっと進んでしまうので、初めて学ぶ人に「これぐらい、すんなり理解して当たり前やで」という印象を与えかねません。「光とは何か」をマジメにすべてお話していくと高校3年間全部費やしても足りないので端折るのは仕方ないにしても、せめてこのくらいのセリフを言ってから話を始めてほしいです。

「光」は、実は奥が深く難しい話なので、お世辞にも高校生がすべてを簡単に理解できるシロモノではない。かといって身近で大事なものだから、最低限このくらいは知っておいてほしい、という項目がいくつかある。長い闘いの歴史を端折ってそこだけを話していくから、正直腑に落ちない部分はあると思う。それはあなたの頭が悪いせいではないのでぐっとこらえて進んでいってほしい。その結果「もっと知りたい」と思ってくれたら大学でさらに勉強してくれ。

このくらい言ってくれれば、精神的苦痛がだいぶ和らいでくれると思います。さて、このごまかしコメント?をふまえて次回からマジメに干渉のお話をします。



はっぴぃ理系らいふ、いぇい
ヽ(・ε・)人(・ε・)ノ キミモナカマニナロウゼ
   

【文責 べじぱみゅ】