ブラジルに向かって小球を落としてみよう!

回答自体はあっさり?


まず(1)からです。前回コメントした「逆2乗則」の特性をありがたく使わせていただきます。小球が中心からrの位置にあるとき、それより内側にある地球の質量分の引力を受けます。地球の密度がρと指定されているので、
(1)答え

これが(1)の答えです。ここから(2)に行くわけですが、(1)の結果で重要なのは

力の大きさがrに比例している

ということです。これをいわゆる運動方程式「F=ma」に当てはめると

(2)式1

となります。マイナスになっているのは「戻される」という意味です。小球にはたらく引力は、小球を地球の中心に引っ張る方向なので、外側に行けばいくほど内側に戻す力が強くなります。なお、ワタクシはこのままでいいのですが「r」が気持ち悪いという方は「x」に変えてもいいと思います。

文字が多くて面倒なので、

(2)式2
と置きます。すると運動方程式は簡単になり

(2)式3

こうなります。実はこれバネにつながれた物体の「単振動」と同じ状況です。

寄り道:単振動について

高校物理では微分・積分を使ってはいけない縛りらしいので、単振動の話をするのに

「sin(wt)で表される運動を単振動と言う」→「単振動ではa=-wxが成り立つ」


みたいな意味不明な論法で進めます。このやり方は若い皆さまの理解の妨げになるので絶対やめたほうがいいと思いますが、いまだにこの手法が続いています。

ここでは縛りルールをガン無視して説明します。「加速度」とは「位置の時間変化の時間変化」ですので、位置rの2階微分で表されます。というわけで

(2)式4
こう書けるわけです。これを解釈すると「位置の時間変化の時間変化が、もとのマイナスK倍になる」となります。そういう関数はまさにサイン・コサインです。というわけで

(2)式5

と書けます。別にコサインでもいいのですが、サインコサインは位相がズレているだけなのでここではどっちでもよく、サインにしています。

さっきの、物理の教科書にある論法をもう一度書きますが


「sin(wt)で表される運動を単振動と言う」→「単振動ではa=-wxが成り立つ」


こうです。いきなりサインが登場し「それが実はバネの運動なのです」と続きます。でも本来の人間の思考過程に沿うと

「物体が位置に比例する力を受ける(a=-wx)」→「するとsin(wt)で表される単振動をする」


とするべきです。「バネにつなぐと、なんとサインの運動をするのです」とね。やっぱり物理の教科書は有害図書に指定すべきですね。


もうすぐゴール!

位置の時間変化がわかりました。日本からブラジルに向けて落とした小球は、日本とブラジルの間のトンネルを単振動するようです。さて、問われているのは「はじめてA地点に戻ってくる時間」ですが、運動が単振動だとわかったので要は「1往復する時間」のことを問われています。

求めるTは、単振動が1往復する時間なので

(2)式6
が成り立ちます。このKにもとの文字を入れて整理すると

(2)答え

が得られ、これが(2)の答えです。

未知のものに立ち向かえ!

前回お話しましたが、今回の「地球の穴」問題を解く意義は、

1:「逆2乗則」の特性を学ぶ
2:エキセントリックな状況にめげずに立ち向かう訓練


です。1は前回お話しましたが、あとは2のお話です。

今回の問題は「地球に穴をあける」というなかなかエキセントリックな設定でしたが、マジメに計算してみるとなんてことはない、ただの単振動でした。

マニュアル

これは全国の受験生への?「教訓」として受け止めましょう。皆さまは将来、教科書に書いてないような謎の状況に立ち向かわなければなりません。たとえばメーカーにおける実際の仕事は、ほとんどが教科書の例題にはないような状況と思ってください。

しかし「例題がないから」と言って諦めてはいけません。今回の問題のように、マジメに計算してみると実は単純な式になり、現象が読めるケースもあります。もちろん計算した結果、やっぱり複雑すぎて諦める場合も多いですが、そういう場合でもうまく近似すれば単純な式になることもあります。

今回の問題は結局ただの単振動なのですが、だからといって教科書の例題にある「バネにつながれた物体」として出題してしまうと面白くありません。そういう問題ばかり解いていても、

マニュアル通りのありきたりな問題しか対応できないいらない人材

になってしまうのです。エキセントリックな入試問題に立ち向かうことで、未知の世界を切り開く使える人材になれる訓練を積むのです!



はっぴぃ理系らいふ、いぇい
ヽ(・ε・)人(・ε・)ノ キミモナカマニナロウゼ
   

【文責 べじぱみゅ】