電気回路の基礎ですら・・・

複素数を「ユーザー目線で割りきって」解説する、という企画をやっております。前回までに、電気回路に必要な「互換性」の確認が終わりましたので、今回から本題である電気回路のおはなしを。

電気回路の基本としてまず出てくるのは抵抗・コイル・コンデンサです。回路に携わる限り永久についてまわるのですが

「基本中の基本」
(※簡単とは言ってない)

でございます。簡単か否かは主観の問題ですが、私は後者ふたつ、コイル・コンデンサの数学的取り扱いが「素人でも気軽に入ってこれるほど簡単」とは到底思えません。実際ド理系のワタクシでも面倒臭いと思います。

しかし複素数の力を借りると、それほど面倒ではなくなるのです!

コイルもコンデンサも、基本の授業においてはまず交流回路で現れることが多いです。この記事では交流回路の電流を、こんな感じで表します。

正弦波の電流


コイルは「電流を妨げる」

コイルの動作原理はあの「電磁誘導の法則」ですが、働きを大まかにいうと「電流の変化を妨げる」といえます。電流の時間変化率に比例した電圧が生じます。「時間変化率」は時間微分ですので・・・


コイルの電圧


こういう具合です。「電流を変化させないようにする」という性質を活かして様々な「電流を変化させたくない」用途に用いるのですが、ここでは置いといて、さっきの交流電流が流れ(ようとし)たときにコイルに発生する電圧を求めてみます。

コイルの電圧-電流の関係

電流と電圧の関係はこのようになります。もとの電流がサイン(青)だと、その変化率は90度位相が進んだコサイン(緑)になります。コイルは、電圧が電流より位相が90度進む、という素子になります。

コンデンサは「電荷を貯める」

コンデンサはまさに「電荷を貯める」働きをします。「電荷が貯まる」ことを数学的に表現すると、電流(単位時間当たりに流れ込む電荷)を時間で積分することに対応します。


コンデンサの電圧

こんな感じです。(*余談ですが、ここでは積分の変数もtだし、「実際の変数」もtにしていて、人によってはややこしく感じるかもしれません。私みたいな「電気屋さん」はその辺をいい加減にやります。数学屋さんには怒られるかもしれません)

電荷が貯まることにより発生する電圧を求めてみましょう。

コンデンサの電圧-電流の関係

電流と電圧の関係はこのようになります。もとの電流がサイン(青)だと、その「積算値」は90度位相が遅れた(マイナス)コサイン(紫)になります。つまりコンデンサは、電圧が電流より位相が90度遅れる、という素子になります。

以上をまとめると

基本素子の電圧-電流の関係

こうなります。交流回路を考えた場合、抵抗はただ定数倍するだけなので簡単ですが、他2つはやれ「位相が進む」だの「位相が遅れる」だの、なかなか面倒臭いですね。

死神を召喚!

ここで「複素数」を使うと、だいぶスッキリします。先ほどは回路に「sinωt」の電流が流れることを考えましたが、次に以下の「複素数の電流」が流れることを考えます。

複素数の正弦波電流

(*ちなみに、電気屋さんは虚数単位「i」のことを「j」と書きます。「i」は電流に使いたいので)

最初に「複素数の電流」なんて言われたら「?」だと思います。でもこれはいつかの記事で書いたように、「途中で虚数を仮想的に導入して進み、最後には追っ払って実数の答えを導く」という方針でやります。そのへんは次回。



はっぴぃ理系らいふ、いぇい
ヽ(・ε・)人(・ε・)ノ キミモナカマニナロウゼ
   

【文責 べじぱみゅ】