*注意)この「べじぱみゅの学習メモ」のカテゴリー記事は、ワタクシ自身がこれまでに勉強したいろいろな項目について、テキストにあんまり書いてない内容などを勝手に妄想したメモです。
ワタクシ自身の備忘録のために書いており「初学者にわかりやすく説明する」というものではございません。
導入なしに唐突に話が始まり、おそらく意味不明な文章かもしれません。
しかし、せっかく考えたことなので、記事の内容がもし誰か1人でもお役に立てれば幸いです。

「有効制約」を体感しよう!


これまで理屈ばっかり述べてきましたが、正直
なかなかイメージがわかないでしょう。最後に、ARXPSデータ解析の例題をやってみましょう!

データは私がXPSの理論式を使って勝手に作りました。表面汚染層/SiO2とSi3N4の混合層/Si基板、という構造を仮定し、その構造サンプルをARXPS分析にかけたときの強度データを計算し「実験データ」としました。

このデータに対して「偏差の二乗を最小化」という2次計画問題を、前回までに述べた「有効制約法」で解いたときの様子です。まずは初期値の、「非負制約」をはずしたときの解です。

有効制約法ループ(下から)-0

確かに濃度が負になっているところがあります。(ちなみに横軸の表記は適当なのですがご了承ください。「1」のところが例えば3nmや5nmだ、とお考えください)

ここから「ゼロ化」を進めていきます。負成分のうちのどれをゼロ化するか、は自由なのですが、ここでは元素としてはSi(Si)→Si(SiN)→Si(SiO)→N→O→Cの順に、深さとしては「深いほう→浅いほう」の順にゼロ化していくこととします。

このループは172回で完了しました。そこで20回経過ごとのプロファイルを示していきます。20, 40, ・・160回、172回経過後のプロファイルをざーっと示します。

有効制約法ループ(下から)-20
有効制約法ループ(下から)-40

有効制約法ループ(下から)-60
有効制約法ループ(下から)-80
有効制約法ループ(下から)-100
有効制約法ループ(下から)-120
有効制約法ループ(下から)-140
有効制約法ループ(下から)-160
有効制約法ループ(下から)-172

ノリがおわかりいただけましたか?負になっている濃度がだんだんゼロにされていき、その影響でゼロにした元素/箇所以外の濃度も微妙に変化していますね。そしてイマイチわかりにくいかもしれませんが、更新のたびにそれぞれの深さにおける元素濃度の合計は1となっています。

ゼロ化サーチを逆回し

「どの負成分をゼロにするか」を仮に逆回ししても行きつく先は一緒です。試しに元素をC→O→N→Si(SiO)→Si(SiN)→Si(Si)の順に、深さとしては「浅いほう→深いほう」の順にゼロ化していくこととします。このケースだと、計算完了までに445回かかりました。以下では初回から、50回刻みの結果をお見せします。


有効制約法ループ(上から)-0
有効制約法ループ(上から)-50
有効制約法ループ(上から)-100
有効制約法ループ(上から)-150
有効制約法ループ(上から)-200
有効制約法ループ(上から)-250
有効制約法ループ(上から)-300
有効制約法ループ(上から)-350
有効制約法ループ(上から)-400
有効制約法ループ(上から)-445


最終的に得られる答えは一緒ですが、サーチの仕方によって前回述べた「z_s>t_MIN」の状況が変わってきて、収束するまでの道のりは変わるのです。
 
前回までの理屈だけ述べていた状況よりも、この推移を見ていると方法自体のイメージはつかめると思います。線形等式縛りを維持したままゼロ化を進める。そしてグラフには現れませんが、これら更新の際に残る KKT 条件(ラグランジュ関数の微分がゼロ・z が非負)をすべて満たしながら行われる。よって最終的に全部非負になったときの答えが、求める解になっている、ということです。やっぱり何か騙されている気もしますが、確かにそうなのです。

今回はARXPSを取り上げましたが、2次計画法はほかにも実に多くの問題に応用できます。いろいろ適用してみましょう。さらにARXPSのデータ解析については、今回述べたのはあくまで初歩の初歩であって、実はこの知識だけではあんまり進みません。まだまだディープな要素をたくさん取り入れる必要があります。その辺は機会があればまた後日。ではまた!


はっぴぃ理系らいふ、いぇい

ヽ(・ε・)人(・ε・)ノ キミモナカマニナロウゼ   

【文責 べじぱみゅ