さて、このおかんことdxですが、やっぱり不思議ですね。
「すごく小さい距離」としていきなり登場して、計算していくうちに

 

2x+dx

 

と、放物線の「傾き」が「なんとなく2xになりそう」
な雰囲気を醸し出してきた絶妙なタイミングで消えてくれました。

 

この計算を初めてみた若者たちは

 

いやいや、そんなのありかよ!

 

と思ってしまうかもしれません。

もしおかんが、最初の割り算の段階

x^2(6)


で身を引いてしまったら話が進みません

分母も分子もゼロになってしまいます。そもそも「傾き」は

 

進んで増えた分を、進んだ距離で割る

 

という量ですが、進んだ距離がゼロなら
この概念が成り立っていません。


このおかん、人生経験豊富なのか空気を読みすぎています。
いてほしいときにいて、いなくなってほしいときにすっと消える。

 

気持ち悪いのもムリはありません。

この計算を最初に言いだしたのは、あの天才ニュートンと言われています。
(歴史的には諸説あるようですが)

その当時の、まわりの偉い数学者たちも猛反論したらしいです。

 

そんな都合よく出たり消えたりする
量があってたまるか!

 

ニュートン先生は「リンゴ」の話なんかで有名ですが、
基本的に物理屋さんみたいです。
数学屋さんと物理屋さんは「数式」に対するスタンスが全然違います。
数学屋さんはあくまで厳密に論理を組み立てていくのですが、
物理屋さんは「うまくいくならそれでいい」的な要素があります。

 

どうやらニュートン先生は、周りの猛反論に対して

 

細けえことはいいんだよ!
こうやればうまくいくんだしさ!
そんなことよりフィッシュ&チップスでも食おうぜ!

 

と一蹴したそうです(こんなフランクな言い方をしたかは知りませんが)

さっきの「空気を読みすぎるおかん」を使えば、
確かに放物線の「傾き」をバッチリ計算できます。

正しい結果が得られます。でもなんか気持ち悪い。

 

正直言うと、高校生の段階で、これ以上
深い議論に足をつっこむのはおすすめしません。
頭が混乱するだけで、テストに悪影響が出たら困りますので。


ニュートン先生がこれを発表した段階では
この気持ち悪さは解決できませんでしたが、
その後何人ものえらい先生たちが苦心して、
今ではこの「気持ち悪さ」はちゃんと解決しています。それをざっくり言うと

 

放物線の傾きは、2x近づく

 

というものです。
2xに「なる」ではなく「近づく」というのがミソです。

「ちょっとの幅」dxを小さくすればするほど、
傾きは2xに「近づく」けど決して2xに「なる」ことはない、
というのが正しい解釈です。

 

いやいや、それ答え出したことになってねえじゃん!

と言いたくなる人がいるかもしれませんが、
現在のところこの方式でちゃんと理論が成り立っています。
詳しく知りたい方は大学1年の数学の授業で虐殺されるのをお楽しみに。

 

この「近づく」を現代の数学の記号でちゃんと書くと

 
x^2(7)


となります。和訳すると

 

xをちょっとだけ増やしてx^2が増えた分を、
xが増えた分で割ったものは
「ちょっと具合」を小さくすればするほど
2x近づいていきます。

 

という具合。