かなりくどくどと説明してきましたが
「微分してf(t)になるものを求める」はまさに「積分」です。

数学の教科書では(高校・大学問わず)、「積分」の章を開いた最初の1ページ目の1行目にだいたい

微分してf(x)になる関数をf(x)の原始関数という。

みたいな文書が書いてあります。もちろん「意味」はこれでもわかります。ただ

それ何に使うの?

が全くわからない状態になります。そのもやもやが解消されないまま、「不定積分」やら「定積分」と勝手に進んでいきます。そのあと「面積」の話が出てきて、ようやく積分の有難味にちょっと触れることができるのですが、それでも

ああ、積分って面積出すのに使うのね

ぐらいに思って終わるか、あるいはそれまでに飽きて息切れしてしまうか、って感じだと思います。ちなみに高校生当時のワタクシも、お恥ずかしながら積分って面積出すのに使う、あるは数IIIで出てくる体積を出すのに使うんだ、ぐらいにしか思っていませんでした。

今回お話してきた「積分」の本質は、

ちょっとずつ区切って合計する

ということです。時々刻々と、あるいは位置ごとに変化する量(今回の例は速度でしたが、「質量」だったり「エネルギー」だったり、また「確率」だったり、それはそれはいろいろな種類があります)をどうにかして正確に合計したい、という目的に積分を使うのです。

ただし、「ちょっとずつ区切って合計する」のは計算がメチャクチャ大変だし、今回の例でもそうでしたが、1秒や0.1秒と細かく区切ったところで「なんとな~く」の答えしか出ません。そこで昔の人がいろいろ悩んだ末、スマートなテクニックとして

微分の逆をやればいい

ということに気付いたわけです。もともと「ちょっとずつ区切って足す」という考えは微分とは全く別の場所で生まれたもので、始めた人はまさかそれが微分の逆だなんて気づかなかった(というよりその当時は微分なんてなかった)とのことです。

「積分は微分の逆」は確かに正しいのですが、それはスマートに計算するためのテクニックに過ぎないのであって、本質はあくまで「ちょっとずつ区切って足すこと」です。

とかく高校数学は、計算能力の養成にウエイトを割きすぎなのですが、積分においても、本質である「ちょっとずつ区切って足す」という話をする前に「微分の逆」というテクニックを先に教えてしまっているわけです。この教え方をすると、高校数学の目指すところでもありますが

比較的短時間で
複雑な計算ができるようになる

というメリットがある一方で

積分がいったい何の役に立つのかわからない

という致命的なデメリットがあります。将来、数学そのものを研究する人にとっても、ワタクシみたいに数学をユーザーとして使う立場になるにしても、このことは非常によくないことです。

積分?もちろん知ってるよ。微分の逆でしょ?
まあ何に使うのかは知らないけどね。