ボール投げ

ボールを投げる「労力」とは?

さて、先ほどF投手がボールに費やした「労力」という話をしましたが、具体的には何のことでしょう?
最初に思いつくのは、まさにボールにかけた「力」Fです。
もちろん、力を強くかければかけるほど速いボールが投げられますので、力Fそのものも「労力」とみなせるかもしれません。
しかし、これだとイマイチです。「力」は「その瞬間の値」です。
同じ力でも、0.1秒かけたのか、0.5秒かけたのかによってボールの速さは全然違うことでしょう。

例えるなら、「年収」を聞かれてるのに「時給」を答えるようなものです。
確かに時給が多いほうが年収もあがるのですが、結局「何時間働いたのか」を加味しないと「トータル」の年収はわかりません。

というわけで、ボールにかけた(込めた)「労力」は「瞬間の値」ではなく「トータルの値」でなければなりません。
このケースでは「トータルの値」として2種類考えられます。

①「FT」:つまり「どのくらいの時間押したか」
②「FX」:つまり「どのくらいの距離押したか」

①のほうがより直感的かと思います。「時給×時間数」みたいなものですね。
まずは①を攻めましょう。

時間トータルの「労力」とは?

究極の真理「F=ma」と、等加速度運動の「v=aT」(時間Tだけ加速度aで加速させたら速度がaTになる)より加速度aを消去すると

FT=mv

こんな式が得られます。
これの左辺は上記①「力の大きさと、押し出した時間の積」ですが、それとイコールの右辺はなんでしょう?
これは物理で言うところの「運動量」という量で、ボールの質量と速度の積です。
ボールが重く速度が速いほど「殺傷能力」が高いといえます。
よって運動量は「殺傷能力」を表すひとつの指標として使えますね。

「FT=mv」とは、かけた「労力」が「運動量」に転化して飛んで行った、と解釈できるのです。
ボールを長く(長い時間)もって押し出すほうが、ボールの「運動量」が大きくなります。
この「時間トータルの労力」を物理では「力積」なんて呼びます。


距離トータルの「労力」とは?

さて、次はちょっとわかりにくい②ですね。
しばらく式いじりをお楽しみください。

距離トータルの労力


こんな式が得られました。
左辺は上記②「力の大きさと、押し出した距離の積」ですが、それとイコールの右辺はなんでしょう?
これは物理で言うところの「運動エネルギー」という量です。
「運動量」と違って速度が2乗になっていますが、同じようにボールが重く速度が速いほど大きくなります。
この「運動エネルギー」も「殺傷能力」を表すひとつの指標として使えます。

そして
運動エネルギー

とは、かけた「労力」が「運動エネルギー」に転化して飛んで行った、と解釈できるのです。
ボールを長く(長い距離)もって押し出すほうが、ボールの「運動量」が大きくなります。
「長い時間」に比べてピンときにくいでしょうが、「滑走路」と考えればまだわかるかもしれません。
同じパワーでダッシュしたときに、短い滑走路でダッシュするよりも長い滑走路でダッシュするほうが速くなりますね。
この「距離トータルの労力」のことを物理では「仕事」と呼びます。

さて次回、この2つの「労力」についてもっと突っ込んでいきます!


はっぴぃ理系らいふ、いぇい
ヽ(・ε・)人(・ε・)ノ キミモナカマニナロウゼ
   
【文責 べじぱみゅ】