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速度と運動量の「向き」

なお、速度には向きがあります。
たとえば「ピッチャーからバッターに向かって40m/sで進む」(=144km/h)は
「バッターからピッチャーに向かってマイナス40m/sで進む」と表現できます。

なんで速度がマイナスやねん!プラスになるようにせえや!

とお怒りになる方もいるかもしれません。
おっしゃるとおり、たしかに「マイナスの速度」はすごく気持ち悪いです。
対象物ごとに「向き」を指定すれば当然すべてプラスにできます。
ただ、物理をやっていくと身に染みてきますが、

向きをコロコロ変えるほうが格段に面倒臭い!

はじめに「ピッチャーからバッターに向かうのをプラスだ」と決めてしまって、あとは速度がマイナスになろうがなんだろうが、お役所作業で計算を進めてしまうほうが絶対にラクです。
ここは「なぜ?禁止」とは言いませんが、お願いだから信じてください、というところです。

「運動量」は質量×速度なので、こっちも向きがあります
「ピッチャーからバッターに向かうmvの運動量」は
「バッターからピッチャーに向かうマイナスmvの運動量」となります。

気持ち悪いのは承知です。でも、これのほうがやりやすいのです!

運動量は「保存」される?

前回の最後で申し上げた

ボールのピッチャー方向の運動量が増えた分と
バッターのピッチャーと反対方向の運動量が増えた分がイコール

を式で表してみましょう。
衝突後のボールとバッター(ほんのわずかに吹っ飛ばされる)のピッチャーからバッターに向かう方向の速度v1, v2としましょう。
なので、もしボールが跳ね返ってバッターからピッチャー方向に飛んだら、v1はマイナスになります。

運動量の向きが逆のままだとこんがらがるので、統一しましょう。
「ピッチャー方向の運動量が増えた分」「ピッチャーと反対方向の運動量が減った分」です。

ボールの「ピッチャーと反対方向の運動量が減った分」はmv-mv1です。
はじめmvだったものが、バッターに衝突したせいでmv1「減った」のです。
(減った結果マイナスになっているかもしれません)

一方で「バッターのピッチャーと反対方向の運動量が増えた分」はMv2です。
(はじめゼロだったので)
この両者がイコールなので、こんな式が成り立ちます。

mv-mv1=Mv2

これをいじると

mv=mv1+Mv2

となります。
この左辺は、ボールを投げた時点でのボールの運動量です。
右辺は、ボールがバッターに当たった後での、ボールとバッターの運動量の和です。
(いずれも「ピッチャーからバッターに向かう向き」です)

これを解釈すると、衝突の前後で「運動量が"保存"される」となります。
ボールとバッターそれぞれの運動量は変わりますが、そのトータルは同じ、ということ。
これを物理の世界では「運動量保存則」と呼びます。

この「運動量保存則」は新しい「真理」ではなく
もともとの真理「F=ma」と「押したら押し返される」から導いたものです。
「F=ma」を認めた瞬間、衝突前後で運動量が保存される、ということを認めたことになるのです。

物理学の用語でちゃんと言うと、こんな感じになります。

2つの物体が衝突し、互いに押し合うだけで他の力が働いていないとき
衝突前後で運動量は保存される

ちょっとお堅い用語ですが、後々複雑な状況を扱うことになった場合に小難しくしておいたほうが有利だったりします。

さて次回で、「ボールの跳ね具合」と「重症度」の関係を明らかにしましょう!


はっぴぃ理系らいふ、いぇい
ヽ(・ε・)人(・ε・)ノ キミモナカマニナロウゼ
   
【文責 べじぱみゅ】